主要指数の週間下落率は年初来で最大だった。昨年末からの上昇相場は先週1週間で3週間分ぐらい逆戻りした。決算発表も出終わったし米中対立に対する楽観的な見方も織り込み済み、そこへ欧州の景気減速のニュースが加わった。タイミングや持続性から見て必要な一休みだろう。相場上昇は重い荷物を背負って山道を登るがごとく一歩一歩が普通だ。一方で売られる時にはその荷物が肩から外れて坂から転げ落ちる印象が強い。そして荷物の中身には崖から落ちるのも出てくる。不思議だけどいつもの既視感が目の前にある。

先週、日本のメディアには偏った見方が溢れかえっていると書いたが、週末の経済紙には「崩れぬ米経済での強気論」、「2月の高値からの5%程度の調整は健全」そして「業績次第で4月以降には相場持ち直しは十分ありうる」とあった。そう、これがウォール街の総意だ。市場に携わっている人の多くが直接、間接でエクイティの持主なので自然にブル・バイアスがかかる仕組みでそれをみんなで実現してきたのが米国だ。こういう“正しい”(?)見方を伝えてくれると日本でも“正しい”理解が進むはずだが。

今週のカバー記事は【投資信託】。これは運用会社の運用能力をランキングした企画だ。この中で昨年の投資パフォーマンスについて「対象ファンド3794本のうち3128本(82%)がマイナスでプラスは666本(18%)、そしてその中で2桁リターンは7本だけ」。ちなみにS&P500指数はマイナス4.4%だ。アクティブ運用の実績なんてこの程度だ、それでもアクティブ運用の商品を買う人はまだまだ多い。

金融商品の仕組みは複雑で誰かの解説や説明が必要な場合が多い。また相場は森羅万象を反映した不確実性の塊だ。だから多くの人にとって誰かの助け、サポートがないと投資活動は続かないのが現実だ。さて、ここが日米の決定的な違いだが、日本と異なり米国は株式市場に居続けたほうが資産運用では勝利する確率が高い。そのため、運用に必要な知識や技術そしてメンタル面でのケアには同伴者やコーチそしてメンターを必要とする人が多い。米国の投資家がアクティブ運用の商品に支払う対価の一部はこれら投資活動を継続するための必要経費と言えるかもしれない。

このサポート代、アドバイス料は日本の投信や株式等の金融商品の手数料にもたんまり盛り込まれている。ネット証券に払う手数料はいわば通信教育の受講料、対面のアドバイザー(証券営業員)経由なら塾の個人授業か。いずれにしても投資家の負担は大きい。これら投信を極端に経費率の低いETFで代替すればコスト激減だ。そして投資アドバイスが必要ならアドバイザーに別途対価を払えばいい。ただし売買手数料(コミッション)でその対価を支払うとアドバイザーは顧客利益を犠牲にして手数料最大化の誘惑に走るし経費率が低いETFの長期保有はアドバイスの対象になり得ない、これが人間の性だ。

この利益相反を避けるために米国では売買手数料ではなく顧客の預かり資産残高に対し対価を払う「残高フィー・モデル」が普及している。これなら投資家の資産が増えればアドバイザーも潤うので両者の利害が一致する。ただし投資家がこの方式を受け入れるのは投資対象を保有し続けてリターンが望める米国なればこそだ。日本の投資家が日本の投資対象に固執するなら残高フィー・モデルを選択するメリットは無いと言い切れる。だから日本の証券マンはあれほどしつこく回転商いを顧客に勧誘するのだ。手数料至上主義のビジネスモデルはすでに破たんしていると思うが?これ以上は“言ってはいけない”大人の事情が種々ある。

そう考えると、顧客が資産運用で確実にそして効率的に成功するためにはまず米国証券への投資がスタート地点だ。バフェットも言うように、これまで米国、この場合米国株式だが、を長期保有すれば必ず成功してきたし今後もそうだ。その米国株式投資の最適なガイドが『バロンズ拾い読み』だ。我田引水めいているがこれは本当だ。そこで米国株投資で成功体験を積み資産がある程度大きくなったらアドバイザーのサポートや助言を買うもの手だ。そうすることでより効率的に資産を増やせるからだ。あなたが選ぶアドバイザーは米国の投資情報にどの程度精通しているだろうか?そのレベルチェックにはやはり『バロンズ拾い読み』が最適なテスト教材になると思う。

さて今週号で取り上げている銘柄は2番でデルタ航空(DAL)、3番の【海洋掘削】ではトランスオーシャン(RIG)、6番はマイクロソフト(MSFT)、7番でインテル(INTC)、8番【配当金投資】では利回り重視のETFを5銘柄(PEY、SPHD、TDIV、RDIV、DGRW)。米国市場の“今”が良くわかる、ありがとうアメリカ株式。

『バロンズ拾い読み』編集人 川田重信