■概況
月曜と木曜日に大きく売られ、下落基調が止まらない。これでS&P500とナスダックは3週、ダウは5週続落し主要指数は3月下旬の水準まで逆戻り。以前にダウが5週続落したのは2011年6月だが今回の特徴は下落率(3.7%)が小さいことだ。1900年以来ダウが5週以上続落したのは64回あるが、今回の下落率はその中で4番目に小さい。今回より浅い押しがあったのは1976年。ところで同時に債券利回りも低下していて10年国債は2017年10月以来の2.323%、2年国債は2018年2月以来の水準(2.168%)だ。

■今週のカバー【決済関連企業】
ビザ(V)、マスターカード(MA)にペイパル(PYPL)を加えた3社をMVPという(知ってた?)。これら3社の優位性、将来性の高さを説明している。決済ネットワークビジネスが身の回りにこれだけ浸透してもまだまだこれからで今後ますます有望、というのが同記事の趣旨。株価は確かに割高だ。しかし名だたるハイテク大手が参入しようとしてもその「モート(堀)」はますます堅牢になる。いま同社株を保有している人は買い増し、そして今から購入を検討している人にも背中を押してくれる記事だ。ところでこの中にはアメリカン・エキスプレス(AXP)は含まれていない。同社はデビット事業がないので大衆向け市場での出遅れがその理由らしい。ただし直近の株価動向は同社の反転攻勢を示唆しているのかも。

■5番【投資原則】
出だしは「金銭面における成功は、どれだけ稼いだかではなく、どれだけ持っているか」。そして米国でもいかに多くの人が当座の資金の工面に苦労し、さらには先代から受け継いだ資産の保持に躓くか?その苦境に陥らないための10原則を紹介している。さてこれらの10原則は日本の終身雇用のサラリーマンなら全て当たり前に実践している。質素倹約を励行し将来への備えを怠らない。というのも、意識せずとも会社の処遇体系や税制がそう導いている。自分で人生の設計図を書いてそれに向かって生きる、そのための資金的な裏付けも自分の努力で?ところがどっこい至る所に日本人としての“正しい生き方”から外れないようにレールが敷いてある。どこの国もその国独自の価値観がルールに反映されているが、日本の場合人生設計や資産設計をあまり考えなくてもいいようにできている(と思う)。

■その他の個別銘柄
2番【MGM】、統合型リゾート(IR)運営大手のMGMリゾート・インターナショナル(MGM)、3番【農業化学株】ではダウ・デュポン(DWDP)の農業部門が分離して新たに上場するコルテバ(CTVA)と同業のFMC(FMC)。4番【米国株式市場】の後半はターゲット(TGT),
6番【インタビュー】では6月20日上場予定のスラック・テクノロジーズ(WORK)、料理出前注文サイトのジャスト・イート(JE.英国)、高級品オンライン販売のファーフェッチ(FTCH)。7番【コラム】の後半はテスラ(TSLA)。9番【ファクター投資】では低ボラティリティの銀行銘柄とそれを組み入れたETFで銘柄はインベスコS&P500低ボラティリティETF(SPLV)、iシェアーズ・エッジMSCIミニマム・ボラティリティUSA ETF(USMV)。10番【経済スケジュール】は食材宅配サービスで株式併合を予定しているブルー・エプロン・ホールディングス(APRN)

■出戻り証券マンの独り言
先週木曜の日経夕刊の投信番付「リスクが小さく、リターンが大きい投信 国内中小型株が上位」が日本の投信の真実を物語っている。国内公募追加型投資信託(約5800本)のうち過去10年でS&P500(円ベース)よりリターンが大きくリスクが小さかったのは4本だけ!いずれも国内の中小型株に投資するファンドだ。首位は三井住友DSアセットマネジメントの「スーパー小型株ポートフォリオ」だが運用総額は10億円未満。2位の「三井住友・中小型株ファンド」だがこっちは200億円あるのでまだまし。ただし4本合わせても1700億円しかない!

比較するベンチマークをS&P500にするところが良心的だと思うがこの事実をどう解釈するか?米国の投信でもその8,9割は10年の運用成績ならS&P500には勝てない。ところが日本の公募投信だとその勝算は米国の比ではないはずだ。ではなぜそんな投信が売れるのか?理由は様々だろうが、投資家と販売側の情報格差、背に腹代えられぬ証券マン側の事情、投資家の射幸心、タイミング投資狙いでそもそも長期投資にあらず、等々か?

よく知られているようにS&P500は超長期でも年率複利10%弱(ドルベース)で回ってきた。もしこの事実と為替リスクを証券マンと投資家が正しく理解し、S&P500やナスダックのETFにドル建てで長期投資するようになったら、日本の個人投資家の資産運用の悩みは雲散霧消だ。これは本当でこれからも本当だ!米国株式の“不都合な真実”が知れわたる事は今の証券・運用業界にとっては悪夢かもしれない。しかしIFA(独立系証券マン)がこの事実を理解し実践すれば資産運用の問題解消の立役者になれると同時に自分の生き方を自分で決める自己実現が可能だ。そんな生き方を証券マンと一緒に模索していきたい。ありがとうアメリカ株式。

『バロンズ拾い読み』編集人 川田重信