*米国の地方自治体と連邦政府は、ケシから製造される医療用麻薬「オピオイド」中毒による危機の代償をヘルスケア企業に支払わせようとしている。企業は合法に製造・販売された医薬品の乱用には責任がないと主張しているが、既に多数の訴訟が提起されている。ウォール街のアナリストは、ヘルスケア業界の支払総額を最大で1500億ドルと予想する。訴訟の長期的な影響によって業界は再編されつつあり、投資家は医薬品サプライチェーン全体へのエクスポージャーを見直すべき。
*ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J、ティッカーはJNJ)は、同社が責任を持って自社ブランドのオピオイド医薬品を販売したと述べ、同社のオピオイド医薬品は、米国で処方されたオピオイド全体の1%に満たないという。
*ドラッグストアチェーン大手CVSヘルス(CVS)の広報担当者は、薬局はオピオイド処方薬の需要を生み出していないと主張。ジェネリック医薬品(後発医薬品)会社テバ・ファーマシューティカルズ・インダストリーズ(TEVA)のCEOもオピオイド訴訟の責任をジェネリック医薬品会社に求めるのは問題の単純化と述べる。これらの被告企業はて最近買収に取り組んでいたこと、また、それが既存医薬品の値上げの時期と重なったため世間の怒りを招き、多額の債務を背負った。テバの純負債/EBITDA倍率(純負債と利払い・税引き・償却前利益の比率)は6.3倍で、S&P500指数の構成銘柄であるヘルスケア企業全体の1.4倍を大幅に上回る。
*米国の医薬品流通業界は3社による独占が続いてきたが、アマゾン・ドット・コム(AMZN)が破壊的変革をもたらすという懸念が生じている。モルガン・スタンレーのアナリストはオピオイド訴訟の和解が、アマゾンに参入機会を与える可能性があると指摘。「和解の副産物として流通業者への規制が強化された場合、事業コストが上昇し、アマゾンのような第4の企業が参入しやすくなる」
2019年9月23日号『バロンズ拾い読み』より
1. How Opioid Lawsuits Could Hurt Investors オピオイド中毒問題【オピオイド】
オピオイド訴訟は投資家にどのような悪影響を及ぼすか