■ 活用が広がる「オルタナティブデータ」
流行に敏感なティーンエージャーが、「もう誰もショッピングモールになんか行かない」ということに気付く前から、マンハッタンの共同オフィスで働く十数人の博士号取得者たちはその事実を知っていた。彼らはショッピングモールでスマートフォンから発信される「ping」(接続状態を確認する信号)が減少しているのを知っていた。この減少は株式市場にとって重要なシグナル。一部のショッピングモールが、予想を下回る決算を発表するはるか以前のことだ。

*ウェブ情報収集会社のシンクナムが、電気自動車大手テスラ(TSLA)のウェブサイトの求人情報が削除されていることに気付いた翌日、同社はリストラを発表。
*ドイツのスポーツ用品大手アディダス(ADS.ドイツ)が、同業のナイキ(NKE)やアンダーアーマー(UAA)から市場シェアを奪っていることが判明するかなり以前から、ウェブ上の消費者アンケートでは、アディダスの方が好きだという回答が増えていた。

*位置データやテキストデータなどの「オルタナティブデータ」:最近は主流のツールとなる傾向が強まっている。リサーチに専ら四半期決算を使用していたポートフォリオマネジャーも、クレジットカードの取引や、ソーシャルメディアの書き込みに見られるセンチメントを分析している。資産運用会社ニューバーガー・バーマンでは昨年、マイケル・レッセ氏が初のチーフ・データサイエンティストに就任した。同氏は今後、自らポートフォリオを運用する見込みである。JPモルガン・チェース(JPM)でも、インテリジェント・デジタル・ソリューションズ部門という新部門が設立され、運用資産額2兆ドルの資産運用チームと協力するプログラマーや博士号取得者を募集している。

*ほとんどの企業はオルタナティブデータを使用し始めたばかり。世界の運用会社40社を対象に実施した調査によると、機関投資家は平均で年間約90万ドルをオルタナティブデータに費やしている。同社の予想では、今年の合計消費額は昨年の1億7000万ドルから増加して約3億ドル。一方でブルームバーグなどの財務データに昨年285億ドルを費やしていることに比べれば、ごくわずかな金額。

*関心の高まりは、イベント参加者の顔ぶれからも明らか。オルタナティブデータ会社のバトルフィンが主催する年次コンファレンスでは、2年前まで参加者の9割がクオンツ系のヘッジファンドマネジャー。現在はクオンツ系と従来型の資産運用者の割合が「1対1に近付いている」と語る。コンファレンスでプレゼンテーションを行うデータ会社の数は、約5倍の153社に増加。

■ 位置情報、クレジットカード情報や衛星情報を利用
■ データだけで判断するのは危険、規制も逆風に

2018年12月3日号『バロンズ拾い読み』より
1. Your Personal Data Is Being Used by Investors オルタナティブデータ 【個人情報】
個人データを利用する投資のメリットとリスク