チャールズ・シュワブのトップストラテジスト(リズ・アン・ソンダーズ氏)に聞く
■ 隠れ弱気市場あるいはローリング・ベア市場
Q本誌:この1カ月は相場が荒れたが、強気市場は終わったのか?
Aソンダース氏:過去1年の多くは隠れ弱気市場に既に突入。S&P500指数構成銘柄の50%近くが20%以上下落。景気後退は一般の考えよりも早期に到来。
■ 今後注視すべきこと
Q:2019年に向けて、レーダー上に浮上した新たな3点とは?
A:①世界の経済成長鈍化とそれが米国に及ぼす影響。米中間だけに限らず世界の貿易が重要。②金融政策。世界的に引き締め傾向にある。流動性が排出されつつあるという考えに十分な注意が払われていない。③世界的なポピュリズムの傾向。ボラティリティが高まる理由の一つでもある。
Q:ウォール街ではさほど聞かれないが、チャールズ・シュワブの顧客から聞く懸念はあるか?
A:一番多いのは赤字と債務について。現在は企業が膨大な負債を抱えているが、数字が示すほどに悪い問題ではない。公的セクターの債務は改善していない。次は何が起きるか分からないが、金利上昇、利払い増加で政府が他の用途へ支出する能力が低下。
Q:2019年には何が話題になるか?
A:景気後退やその時期。雇用や減税など今年ポジティブだった話題がなくなる2019年は、ウォール街には良い環境ではないかも。アニマルスピリットも大事。これがなければ、どこに加速の原動力が見出せるのか。
Q:市場がどこに向かっているのかを理解する際、一番好んでいる経済指標は何か?
A:実際の投資家との会話などが重要だ。小さな情報が積もり積もって傾向が分かる。
現在、中国経済は明らかに減速し、欧州では欧州中央銀行(ECB)が国債買い入れプログラムを終了しようとしており、米国では貿易の不確実性によって設備投資が減速。そのため世界の2大経済がつまずくことを防止すべく、2016年と似たような合意がなされる可能性がある。
*市場や世界経済の一層の弱体化は、中国と米国のどちらのためにもならない。特に後者では2020年に選挙を控えているため、中国からの輸出に打撃を与え、米国企業の設備投資計画の不確実性を悪化させることは避けたいところだ。やはり結局のところ、歴史から学ぶべきことはあるのかもしれない。
2018年12月17日号『バロンズ拾い読み』より
4. A Bear Market Is Here and a Recession Could Be Coming 弱気相場 【インタビュー】
トップストラテジストに聞く