■ ベンチャーキャピタル(VC)投資座談会
*参加者:グロース株投資マネジャー、リンクトイン共同創業者などベンチャーキャピタリスト5人
*テーマ:VC・スタートアップの現状・上場について、新興テクノロジーの概観

■ ベンチャーキャピタルにとって厳しい時代
Q本誌:技術、人材、資金面で現在はVC投資の黄金時代か?
A:難しい。クラウドコンピューティング、人工知能(AI)、拡張現実(AR)、仮想現実(VR)など、技術トレンドが多様で、何に投資すべきかが明確でなく資金が十分に集まらない。

A:非上場企業への投資には黄金時代。上場のメリットは多額の資金調達だったが今は非上場企業投資に熱心なファンドがある。
上場にはコストや説明責任の増加などのデメリットがある。優れた創業者が自社を長期にわたり非上場としている。

Q:ハイテク企業が長期にわたり非上場なのは良い?
A:株式市場は利益の変動を嫌う、非上場企業の方が事業投資の自由度が高い。

A:一部の非上場企業では、多額の資金を集めても社内の規律が未整備で事業効率や投下資本利益率を高める学習の機会がない。ゾンビ企業が生まれる可能性。

■ 注目の新興テクノロジー
Q:VC投資家として最も興味がある新興テクノロジーは?上場企業の投資家が最も注目すべき新興テクノロジーは?
A:自動運転(自動運転技術開発のオーロラや、自動運転トラックの開発を手掛けるエンバークに注目)、新薬開発(一部の患者に有効な少量の製品)、クラウドデータとVR・AI技術の組み合わせなど。

■ 破壊的変革が予想される業界は
Q:その他に破壊的変革が起きる分野は?
A:農業。天候や土壌のデータ分析、合成生物学の活用で。

Q:金融サービス業界での技術変革の見通しは?
A:今後、銀行機能の多くはクラウド上に移行、従来型の銀行は減る。

A:決済・金融サービスの提供で経済成長推進、中国のアリババ(BABA)テンセント(700.香港)傘下のシステムが例。

Q:クレジットカードのビザ(V)マスターカード(MA)は、なぜ破壊的変革に強い?
A:ネットワーク効果が強力。グーグル親会社のアルファベット(GOOGL)のように支配的な既存企業や、資本が潤沢でネットワーク効果の恩恵を受けている企業が存在するとスタートアップ企業の競争優位性を評価するのは難しい。

Q:そのような問題にどう対処?
A:アマゾン・ドット・コム(AMZN)などの巨大企業はデジタル通信やEコマースの枠組みの構築を支援。こうした枠組みがうまく活用されていない分野に投資する。
ショッピファイ(SHOP)は小規模企業向けのEコマース用プラットフォームを提供してこの問題に対応。

■ 来年の注目点
Q:VCやイノベーションの観点から来年注目すべきは?
A:インテグリティー(誠実性)、宇宙と仮想通貨、AI。米国のイノベーション精神、政府機関の効率性を高めるためのイノベーション。

 

2018年12月24日号『バロンズ拾い読み』より
1. What’s Next for Silicon Valley? ベンチャーキャピタル投資【座談会】
ベンチャーキャピタリストによるラウンドテーブル