■ ウィリアム・プリースト氏(エポック・インベストメント・パートナーズCEO兼共同最高投資責任者(CIO))
Q:かなり前からグローバル化の終焉(しゅうえん)について語っているが、今はどういう状況か?
A:現在は地政学的リスクが高い時代だ。グローバル化によって企業は1989年以降に利益率が2倍となった。しかし、今や時代は巻き戻されている。現在の米中の貿易戦争は、ウィンウィンではなく、両者ともに負ける戦いだ。今回の貿易戦争は、中国対欧米の冷戦の始まり、あるいは国家資本主義と自由市場資本主義との間の戦いとみることもできる。戦いの場は貿易だが、価値観を賭けての戦いだ。既に中国との冷戦は始まっており、長期間続く公算が大きい。

Q:米国経済や投資家にとって短期的にどういう意味があるか?
A:世界経済は減速している。今後は予想を下回る決算が発表されるようになるだろう。労働や資本をテクノロジーで代替するにつれ、売上高は横ばいでも利益率は上昇する。物理的な資産をテクノロジーで代替すれば、資産回転率は上昇する。われわれの知り合いの企業は全て、キャピタル・ライト(少ない資本)のビジネスモデルを目指している。資本への需要が減るので、配当性向は上昇する。配当の見通しは本当に素晴らしい。

Q:1月の推奨銘柄の情報更新は?
A:航空宇宙防衛複合企業サフラン(SAF.フランス)は引き続き推奨。先端材料関連の製造卸売会社ヘクセル(HXL)も。航空宇宙業界を選好しており、依然として見通しは良い。武田薬品工業(4502)も、今後12カ月は非常に素晴らしいと考えている。大規模な資産売却で負債を返済するだろう。上値余地は25~50%の可能性もある。ダウデュポンはラウンドテーブル以降に事業を分割し、総合化学メーカーのデュポン・ドゥ・ヌムール(DD)、素材化学ダウ(DOW)、農業事業のコルテバ(CTVA)に3分割された。全体としてポジションは下落した。推奨は終わりとしたい。別のもっと魅力的な銘柄がある。

 

2019年7月15日号『バロンズ拾い読み』より
1. Where to Find Value Now ミッドイヤー・ラウンドテーブル 【今後の市場見通し】
9人の投資プロフェッショナルによる今後の見通し