■ 買収発表を受けてIBM株は下落、レッドハット株は急騰

IBMIBM)は先週、ソフトウェアプロバイダーのレッドハット(RHT)を340億ドルで買収すると発表。クラウドの勢力地図を塗り替え、世界第一のハイブリッド・クラウド・プロバイダー誕生か。

*発表後の取引初日1029日(月)IBMの株価は4%下落。一方でレッドハットの株価は45%急騰して170ドル。

IBMCEO、ジニー・ロメッティ氏は楽観的「企業はクラウドを巡る旅の2割しか経験していない」 

■ IBMの見通しは楽観的過ぎる

*レッドハット買収に支払う金額は取引合意前の株価より63%高い水準。2018年の企業買収のプレミアムの平均は34%。買収はファンダメンタルズの面からも割高であり、買収価格は2018年予想株価収益率(PER)の55倍、2018年予想売上高の10倍。ソフトウェア企業の買収価格は歴史的に見て予想年間売上高の約4.5倍。

*レッドハットがIBMをクラウドに導く?このストーリーには疑問符。レッドハットの売上高の半分以上がクラウドと直接関係しない業務用サーバーOS事業でその成長率は鈍化。アマゾンのAWSの前四半期の増収率は46%。一方でレッドハットの増収率は14%。

IBMはクラウドの市場規模を1兆ドルと推定、ハイブリッド・クラウドの定義にサーバーだけでなくソフトウェアやビジネスプロセス、サービスを含めていている。この定義に同意する人は皆無。同社の言う1兆ドルの市場規模は、範囲をかなり大きく広げて弾き出されたもの。

IBMは大風呂敷を広げる。例えばワトソン。この人工知能プラットフォームはがん診断や天気予報、クイズなど様々な用途に適用。ただしワトソンが多くの事例で効率が低く、不正確との報道。

*ロメッティ氏が2012年初めに就任して以降、同社の株価は36%下落。

 2018115日号『バロンズ拾い読み』より
8. With Red Hat, IBM Makes a Big Cloud Promise レッドハット買収【IBM
クラウド市場での起死回生を期した大型買収だが、リスクは高い