*「将来成長価値(FGV)」とは一般的に、企業価値(EV)から、現在の利益に帰属する価値を控除した残存価値。アマゾン・ドット・コム(AMZN)、動画配信大手のネットフリックス(NFLX)セールスフォース・ドットコム(CRM)といった、FGVが高い企業に投資をする場合は将来の事業に注意が向けられることが多い。

*しかし上場企業1300社以上を調査対象としたアクセンチュア・リサーチの分析では、現在の事業も将来の事業も共に成長を持続できる企業は、コーヒーチェーン大手のスターバックス(SBUX)、遺伝子解析機器を手掛けるイルミナ(ILMN)、中国のソフトウエア大手のテンセント・ホールディングス(騰訊控股、700.香港)など極めて少数。それらの企業は、現在の利益を改善しながら、新規事業を迅速に立ち上げられる革新的な環境も準備している点が優れており、チャンスが到来するとコア事業を絡めてうまく転換ができている。われわれ(共著者3名はアクセンチュア役員)はこうしたアプローチを「ワイズ・ピボット(賢い転換)」と呼んでいる。賢く転換する企業はより高いFGVを実現しやすい。

*投資家が想定したFGVを再確認するためには、1)新規事業投資を賄うために必要となるキャッシュを生み出すため、その企業が中核となる従来の事業に十分再投資を行っているかどうか、2)業界内での利益分配がどうなるか(複数の競合企業で利益を分けるのか、一社が利益の大部分を総取りか)3)新規事業により顧客価値がどれくらい創出されると予想されているのか、を検討。

*われわれの研究では、デジタルビジネスは異常なまでに多くの消費者余剰を生み出す。つまり、消費者は価格以上の価値を享受しているということだ。そのことをFGVの計算で考慮しなければならない。急速にテクノロジーが変化する今日の環境においては、FGVの新たな役割が期待される。

 

2019年5月20日号『バロンズ拾い読み』より
8. Netflix, Starbucks, and the Value of the ‘Wise Pivot ワイズ・ピボット 【企業価値】
賢い転換により将来成長価値(FGV)を高める