*米国株式市場の動きが単純でなくなってきている。年初から基本的に上昇基調、たまに穏やかな下落、先週の主要株価指数も表面上は似ていたが水面下で大きな違い。
*金曜日にイールドカーブが逆転(長期国債(今回は10年債)の利回りが3カ月や1年の国債の利回りを下回った状態)。「逆イールド」の状態は、景気後退が迫っていることや、強気相場の終わりを示す信頼性の高い指標とされてきた。
*ただし、景気後退が実際に始まるのはイールドカーブが逆転してから6~18カ月後、株式市場はイールドカーブが警戒信号を発してからも上昇を続ける場合がある。過去の例では、2006年7月17日に3年国債と10年国債の利回りが逆転したものの、株式市場は2007年10月9日に高値を付けるまで15カ月近く上昇。その間のS&P500指数のトータルリターンは約29%。また、一日だけ逆イールドが生じても大きな意味はないと思われる。
*ヤルデニ・リサーチのエド・ヤルデニ氏は、逆イールドは確かに景気後退のシグナルではあるものの、他の指標は経済成長を示しており「市場は逆イールドを受けて混乱しているようだが、私はうろたえてはいない」と語る。
*他の主な懸念の一つに、4月から始まる決算発表シーズンという指摘も。「企業側は市場が期待する業績予想を引き下げるために経済成長に対する懸念を理由に使い、予想を達成可能な水準にするだろう。」米国経済の状況に対する懸念を増すだけになりそう。
2019年3月25日号『バロンズ拾い読み』より
9. The Trader 債券市場からの変化球【米国株式市場】
景気後退に至ると示唆する逆イールド状態をどのように織り込むか