*企業会計慣行をめぐる議論が浮上している。会計問題に関しては、投資家は適切に質問し、財務諸表の適切な場所を調べることを学ぶ必要がある。「アグレッシブな(不正とはいえないまでも)会計慣行は、たくさんある」以下、五つの例。
*期間費用の過剰な資産計上
費用を資本資産のように扱って貸借対照表に計上し、長年にわたって費用認識を分散させること、定期的な支出を、建物や工場や機械のように減価償却すること。精密測定機器メーカーのメトラー・トレド・インターナショナル(MTD)は2008年、同社がブルー・オーシャンと呼ぶ新しいソフトウエアシステムへの支出の一部を、この方法で資産計上していたことを明らかにした。
*会計上の引当金
S&P500指数構成企業は2018年の調整後利益を1兆4000億ドルと発表している一方、一般に認められている会計原則(GAAP)ベースでは約1兆2000億ドルだった。2000億ドルの差は決して小さくはなく、この差額はリストラ費用やその他の利益や損失などの「特別」項目で構成されている。これらの項目は経常的ではないとされ、企業が表に出すことを好む数値からは除外される。
*減価償却
企業が資産の耐用年数を延長すると、その資産の年間減価償却費が減少する。飲料大手のキューリグ・ドクター・ペッパー(KDP)は、2014年から2018年にかけて、建物、機械、そして無形資産である顧客との関係の最長耐用年数を延長した。減価償却費を削減し、費用を将来にシフトさせることによって、報告される利益に影響が及ぶ可能性がある。
*年金会計の仮定
財務報告書の年金費用を算出は複雑で、さらに年金監督当局が要求する計算方法は、会計士が要求する計算方法とは異なっている。S&P500指数構成企業のうち29社は、2016年から2018年にかけて、年金資産のリターンに関する前提条件を引き上げた。年金資産のリターンが高いほど、より多くの収入が得られることになり、退職者給付をカバーするために年金制度に投入する必要金額が少なくなる。年金費用は減少し、EPSは増加する。
2019年9月9日号『バロンズ拾い読み』より
3. Accounting Warning Flags for Investors 危険信号に敏感であれ 【企業会計慣行】
決算報告書をドレスアップする五つの手法
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