ロウズ・コープ(L)は時価総額約150億ドルのコングロマリット。株主価値を重視し、適度な成長見通しにもかかわらず株価(約47ドル)は、本誌が算定した1株当たりの純資産総額58ドル(サム・オブ・ザ・パーツ分析)を19%下回る。忍耐強い投資家にとっては過小評価された資産を持つ、割安で魅力的な投資かもしれない。
*保険持株会社CNAファイナンシャル(CNA)の89%の株式を所有、高級ホテルチェーンのロウズ・ホテルズのオーナー(ニューヨークのエリートたちのパワーブレックファストで有名なマンハッタンのロウズ・リージェンシー・ニューヨーク・ホテルなど)。その他海洋石油・ガス掘削大手請負業者ダイアモンド・オフショア・ドリリング(DO)の53%も所有。
*最近の投資家は専業企業を選好、今やコングロマリットは絶滅危惧種になっているが、最高経営責任者(CEO)のジム・ティッシュ氏は「われわれはコングロマリットであることを恥じたりしない。目的は株主価値の増大にある」。ウォーレン・バフェット氏が率いる投資会社バークシャー・ハサウェイ(BRK)に類似するが、過去5年間にロウズは、株式市場全体だけでなくバークシャーに対してもアンダーパフォーム。
*しかし見通しは改善しつつある。10年前は平均以下の保険会社だったCNAファイナンシャルの営業成績は、2018年第4四半期はカリフォルニアの山火事などで8400万ドルの赤字だったが、2018年全体の1株当たり利益(EPS)は2.98ドルだった。年末の株価下落分は今年年初の上昇で大半を取り戻している。四半期配当は0.35ドルで、最近では5年連続となる1株当たり2ドルの特別配当も発表。
*ホテル経営では、ユニバーサル・スタジオ・フロリダでのメディア大手コムキャスト(CMCSA)との提携から恩恵。
*バランスシートは堅牢。負債18億ドルに対し、現金や投資(株式やヘッジファンド)が31億ドル。自社株買いにも熱心で、2008年以降に41%もの自社株を買い戻し。
*家族経営。ジム・ティッシュCEOの父、ラリー・ティッシュ氏と叔父のプレストン・ボブ・ティッシュ氏が1950年台後半にロウズの支配権を握った。ジム・ティッシュCEOの兄、アンドリュー・ティッシュ氏は取締役会共同副会長で、同じく共同副会長のジョナサン・ティッシュ氏はボブ・ティッシュ氏の息子、ホテル事業のトップ。

 

2019年2月18日号『バロンズ拾い読み』より
4. Loews: A Conglomerate That Investors Can Love 実は複合企業【ロウズ・コープ】
ロウズ・コープはロウズ・ホテルズや保険会社などを所有するコングロマリット