*今年のIPO銘柄は公開日の株価上昇率が平均25%と、2000年以来最も高くなっている。しかし、IPO銘柄にのみ投資する上場投資信託(ETF)のルネサンスIPO ETF(IPO)は、今年上半期に急上昇した後、7月下旬から15%下落。IPOを追跡するIPOScoop.comによると、2019年には米国で114件のIPOがあり、うち63件でリターンがプラスになっている。

*ビジネスモデルにより明暗が分かれる。クラウドベースの法人向けソフトウエア企業はサブスクリプションを基盤とする成長性と予測可能性の高い収益モデルを有する。2019年のIPO銘柄としてはズーム・ビデオ・コミュニケーションズ(ZM)、サイバーセキュリティー会社のクラウドストライク・ホールディングス(CRWD)、クラウドプラットフォームのファストリー(FSLY)など、IPO以来少なくとも15%上昇。

*一方市場は競争が激しく、コーポレートガバナンスが弱く、莫大(ばくだい)な損失を出し、債務負担が大きい、資本集約型モデルの一連の問題企業に対する関心を失っている。今年に入って上場したウーバー・テクノロジーズ(UBER)リフト(LYFT)の株価は、共にIPO価格を大きく下回っている。シェアオフィス大手ウィーワークの親会社ウィーカンパニーは、ビジネスモデルと評価額に関する投資家の深刻な疑念に加え、コーポレートガバナンスの慣行に対する厳しい批判を受け、2週間前にIPOを延期した。

*ベンチマーク・キャピタルで長年パートナーを務めるビル・ガーリー氏は今後市場が二手に分かれると見ている。クラウドへの移行が続く中、法人向けビジネスの栄光は続く一方、消費者向けビジネスは引き続き苦労する可能性がある。

 

2019年9月30日号『バロンズ拾い読み』より
2. IPOs Have Been Crushed in 2019 市場の修正進む 【新規株式公開】
ビジネスモデル、ガバナンス体制、黒字化見通しがIPO成否の鍵