*米国株は年初来で大幅に上昇しているが、上昇相場が続くという信頼感は後退している。本誌が春と秋の2回行うビッグ・マネー調査の最新版によると、148社の資産運用マネジャーのうち、今後12カ月の株価見通しについて強気と回答した割合は49%と昨年秋の56%から減少。弱気派は昨年秋の9%から16%に増加。株価が妥当と考えている資産運用マネジャーの割合は約70%とほぼ5年ぶりの高さ。

*強気派の根拠は、米連邦準備制度理事会(FRB)による利上げの一時停止、米中の貿易交渉における合意の可能性、粘り強い企業利益の伸び、半世紀ぶりの強さを見せる米国労働市場。弱気派は、米国経済と企業利益の伸びの減速や、政策の失敗による景気後退の可能性を重視。

*米国経済が景気後退に入る時期については、回答者の約44%が2020年、32%が2021年、20%が2022年以降とみている。

*年初来の好調な出足を踏まえ、強気派も上値余地は小さいと考えている。強気派が予想するS&P500指数の上昇率の平均値は、年末までに1%未満、来年6月までの期間が4%。弱気派は大幅な下落を見込んでおり、予想下落率の平均値は年末までに12%、来年6月までの期間が14%。

*今後FRBが取るべき行動については、過半数のマネジャーが、利上げも利下げも行わず、バランスシート縮小を続けることを望んでいる。

*現在のS&P500指数の予想株価収益率(PER)は約17倍で妥当だが、バリュエーションの差が拡大していると指摘も。「PERは勝ち組が20倍台半ば、負け組が10倍台前半となっている」「市場で見落とされている側に注目することを推奨」。強気相場が最高値を更新し続けるためには、幅広い銘柄が上昇する必要がある。昨年に大幅な上昇となった銘柄の多くが過去最高値を付けるまで回復したことを踏まえると、今こそ「見落とされている」銘柄が輝く時かもしれない。

 

2019年4月29日号『バロンズ拾い読み』より
1. Big Money Poll: Even Bulls Are Cautious 強気派すら慎重 【ファンドマネジャー調査】
ビッグ・マネー調査:年初来の上昇を受けて強気な見通しの割合が低下