*モルガン・スタンレー・インベストメント・マネジメントの新興国市場責任者兼チーフグローバルストラテジストのルチール・シャルマ氏は2010年代の最初に、派手にもてはやされているBRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)を避けて、米国株をもっと優先するよう投資家に正しい助言をしていた。しかし今は世界の株式市場が変曲点にあるとみている。米国のハイテク銘柄やグローバルな多国籍企業が不振に陥る可能性があり、その一方で新興国市場がリバイバルする態勢に。

Q:新興国市場株式は今年11%上昇し、昨年の下落分を取り戻す過程にある。上昇はまだ続く?
シャルマ氏:新興国市場は1988年に資産クラスとして確立されて以降、一時的に下落する場面は毎年あり、その中央値は17%だ。2003年や2007年の強気市場でさえもそうだ。従って、毎年下落に見舞われることを予期しておくべき。今回の新興国市場の上昇は、米国でも買われるような大型ハイテク企業などが買われているだけ。

Q:投資家は脱グローバル化にどう対処すべきか?
A:脱グローバル化の勝者と敗者について考えるとよい。ベトナム、インドネシア、タイが恩恵を受ける。メキシコも、中国と比較した場合の賃金や通貨ペソが割安なため恩恵を受ける。インドやサウジアラビア、ロシアはグローバル企業に依存するよりも自国のエコシステムを築きたいと考えている。グローバル企業はこのような環境で深刻な難題に直面するだろう。

Q:投資家はローカル志向になるべきか?
A:その通り。新興国市場の生活必需品セクターは市場全体に対してかつてないほど割安。当社のポートフォリオマネジャーが選好しているのは、メキシコの飲料持ち株会社フォメント・エコノミコ・メヒカノ(FMX)、ポルトガルの食品流通持ち株会社ジェロニモ・マルティンス(JMT.ポルトガル)、ブラジルの大手飲料メーカーのアンベブ(ABEV)、メキシコの小売会社ウォルマート・デ・メヒコ(WALMEX.メキシコ)、そしてロシアの食品小売りチェーンのX5リテール・グループ(FIVE.英国)。中国では、教育サービス事業を展開するニュー・オリエンタル・エデュケーション・アンド・テクノロジー・グループ(EDU)、乳製品の中国蒙牛乳業(2319.香港)、酒造の貴州茅台酒(600519.中国)、医療品メーカーのCSPCファーマシューティカル・グループ(石薬集団、1093.香港)

Q:今後6~12カ月で最も魅力的な新興国市場は?
A:中国には慎重だ。人口動態が米国より悪いし、家計の債務も多く、脱グローバル化で失うものが大きい。韓国や台湾にも慎重。インドネシア、ポーランド、ペルー、メキシコ、ブラジル、エジプトなど、最近にマクロ経済的な調整を行い、国民一人当たり国内総生産(GDP)が比較的低く、金融サービスの普及の余地があり、通貨の安い国を選好。

 

2019年4月8日号『バロンズ拾い読み』より
6. Why You Should Buy Emerging Market Stocks 新興国市場株式【インタビュー】
ルチール・シャルマ氏が新興国市場を買いと考える理由