*現在とハイテクバブルの類似点は多く、2019年のIPOによる資金調達額は、2000年の約970億ドルを超える過去最高水準に達する可能性がある。6月28日に上場した高級ブランドの中古品販売サイト、ザ・リアルリアル(REAL)の公開価格は20ドル、時価総額は16億5000万ドル。上場初日、株価は急上昇。6月に上場したペット用品オンライン販売会社チューイー(CHWY)もハイテクバブルを連想させるが、これらの企業はハイテクバブル銘柄の特徴とは異なる要素を数多く持つ。
*IPOの復活は、創業をめぐる投資家や起業家の姿勢の変化、豊富な未上場の成熟企業、成長ストーリーへの渇望を反映。本誌は配車アプリ大手のウーバー・テクノロジーズ(UBER)とリフト(LYFT)が過度に期待されていることを懸念していた。本誌の懸念は的中し、両社の株価はIPO価格以下の水準で推移。それでもIPO市場は底堅い。
*今年のIPOの成功例は多く、代替肉メーカーのビヨンド・ミート(BYND)、写真共有サイトのピンタレスト(PINS)、チューイーなどIPO後も堅調なパフォーマンス。法人向けハイテク企業は特に選好されている。テレビ会議システムのズーム・ビデオ・コミュニケーションズ(ZM)、ITシステム監視サービスのページャーデューティー(PD)、コンテンツ配信ネットワークのファストリー(FSLY)、セキュリティー対策ソリューションのクラウドストライク・ホールディングス(CRWD)、ビジネス用チャット大手のスラック・テクノロジーズ(WORK)など。
*成長ストーリー:最近のIPO市場で目立つのはグロース企業のバリュエーションの高さ。アップル(AAPL)、フェイスブック(FB)、アルファベット(GOOGL)など一部の有名ハイテク企業は成熟期に達し、成長率が低下している。対照的に、ズームの年間売上高は100%以上のペースで伸びている。
*スラック、ページャーデューティー、クラウドストライク、ズーム・ビデオ、セキュリティーサービスのゼットスケーラー(ZS)、プロジェクト管理ソフトのアトラシアン(TEAM)、ID管理サービスのオクタ(OKTA)、検索エンジンを手掛けるエラスティック(ESTC)、データベース・プラットフォーム開発のモンゴDB(MDB)は、いずれも年間売上高の伸びが30%以上、これらの企業のバリュエーションは全て高水準。この業界の上場企業候補としては、ルーブリック(クラウドストレージ)、フレックスポート(クラウドベースの物流)、スノーフレーク・コンピューティング(クラウドベースのデータウエアハウス)、スクエアスペース(ウェブホスティング)。
2019年7月1日号『バロンズ拾い読み』より
1. Today’s IPO Market Is Not the Next Dot-Com Bubble 新規株式公開【IPO】
現在のIPO市場はハイテクバブルとは違う