*中国の報道によると、米国側は人民元安を阻止するために、新たなプラザ合意を推進する可能性がある。同記事は、日本の「失われた30年」は1985年のプラザ合意が理由といえるため、同様の合意推進は中国にとっての警告である、と主張。プラザ合意はドルを安くした一方、米国の主要貿易相手国の通貨、特に日本円とドイツ・マルクを大幅に高くした。

*プラザ合意『2.0』に抵抗すべきという記事の主張は検証に値する。日本にとってのプラザ合意は、1988年終盤までに日本円の価値が約2倍へ上昇することを意味した。日本は対抗策として、超緩和的な金融政策を追求し、国際通貨基金(IMF)の推計によると日本の金利は、経済のファンダメンタルズからあるべき水準を400bp下回っていた。その結果が不動産と株式のバブルだ。ちなみに、現在の日経平均株価は約2万1000円で、バブルのピーク時の半分強。

*中国は、人民元安誘導能力が阻害されることで同様のリスクに直面するか。当時と現在の差は大きい。日本は変動相場制を採用していたが、中国は限定的で管理された為替変動しか容認していない。中国の外貨準備は莫大(ばくだい)で、米国債を1兆1000億ドル保有している他、資本移動も制限。

*中国メディアの論調は、貿易摩擦に関する有効な歴史的観点を提供するというよりも、国家主義的な感情をかき立てることを狙っているようにみえる。実際米国は、対中貿易是正よりも、国家安全保障やスパイといったさらに大きな問題に焦点を当てているようにみえる。中国の大手通信機器メーカーのファーウェイ・テクノロジーズに対する米国における販売と調達の禁止が好例だ。

*株式市場では、半導体銘柄、特にファーウェイ・テクノロジーズやその他の中国ハイテク企業に対する制約で影響を受ける可能性のある銘柄、さらに、顧客である農家が貿易摩擦の最前線にいる農機大手のディア(DE)が大幅に売られた。関税を戦術的に乗り切ったネットワーク機器大手のシスコシステムズ(CSCO)は比較的好位置。

 

2019年5月20日号『バロンズ拾い読み』より
6. Up and Down Wall Street 日本化を避けたい中国【コラム】
中国を標的としたプラザ合意再来に対する警告 不透明な将来