*配当利回りを使って、市場全体や特定のセクターのトレンドを素早く見抜くことができる。ファクトセットによると、S&P500指数の過去12カ月ベースの実績配当利回りは1.87%で、1年前とほぼ同水準であり、過去20年間の平均とちょうど同水準。「増配は株価上昇と同調してきた」フェデレーテッド・インベスターズのシニアポートフォリオマネジャーのダニエル・ペリス氏。

*昨年、S&P500指数11業種のうちの幾つかは、例年と比べて配当利回りが大きく変化した。不動産セクターは、1年前の3.4%から約3%に低下し、堅調な株価上昇の兆しを見せた。不動産投資信託(REIT)32銘柄で構成する上場投資信託、不動産セレクト・セクターSPDRファンド(XLRE)の同期間のパフォーマンスは22%の上昇。

*対照的に、エネルギーセクターの配当利回りは、最近2.9%から3.18%に上昇し、株価の不振を示唆している。同セクターの同期間のリターンは、1年前と比較した原油価格の下落を受けて配当込みで約2%に低下。

*伝統的に高配当の生活必需品セクターの配当利回りは、昨年後半に3%近くまで上昇したが、最近2.87%まで低下した。同セクターの年間リターンは約10%。ペプシコ(PEP)プロクター・アンド・ギャンブル(P&G、ティッカーはPG)のような企業が好業績。

素材セクターは景気に非常に敏感で、約20ベーシスポイント(bp)上昇し、2.24%の配当利回り。当セクターの年間リターンは横ばいで、経済成長と商品価格についての懸念を示唆。

*配当利回りの変化が最も大きいのが公益と金融。今週前半の時点で、S&P500指数の金融セクターの過去1年のリターンはマイナス5%。同セクターは割安な銘柄が多いにもかかわらず、配当利回りを相殺するような株価の急落が起こる可能性が常に存在する。公益セクターは、昨年約19%のリターン。投資家は、同セクターを、安全かつ相対的に確実な配当投資先だと考えている。

*テングラー・ウェルス・マネジメントのチーフ・インベストメント・ストラテジストであるナンシー・テングラー氏は、「ゼロ成長ながら割高」だとして、公益セクターを避けている。金融セクターの組入銘柄には、JPモルガン・チェース(JPM)U.S.バンコープ(USB)、配当利回りはどちらも3%である。

 

2019年4月8日号『バロンズ拾い読み』より
9. Dividends Can Tell You a Lot About a Sector’s Strength 業種の強弱 【インカム投資】
公益セクターより金融セクター