*博士課程修了の研究員だったジェーソン・スマードン氏:年金口座を開設した15年ほど前は同氏は低リターンとなる可能性を承知で自分の理想を重視し、社会的責任を考慮した銘柄を組み入れる株式ファンドに比重を置いた。しかし10年前の景気低迷時以来、年金ポートフォリオの大半を高成長ファンドに移している。債券や不動産、各種ファンドへの投資は理想をある程度諦める一方、オンライン証券会社で個別銘柄のポートフォリオを組むような際には、自分の仕事や価値観に沿ったビジネスを中核とする銘柄を選ぶ。
*現在、ミューチュアルファンドへの投資が理にかなうと考えているが、そうすると個別銘柄に対する調整が難しくなる。「低炭素関連銘柄」上場投資信託(ETF)のような、同氏の気候変動に対する理念に最も沿うETFですら、石油や防衛関連銘柄が含まれている場合が多い。
*2013年にイー・トレードに口座を開設して、個別銘柄選択をしやすくした。環境などに配慮した銘柄で構成されるiシェアーズMSCI KLD400ソーシャルETF(DSI)やバンガード・ミッドキャップ・インデックス・ファンドETFシェアーズ(VO)は同氏のポートフォリオの15%を占めてはいるものの、その比率は以前と比べるとかなり下がっている。個別銘柄ではペンシルベニア州を拠点とする水道会社アクア・アメリカ(WTR)、再生可能エネルギー大手のネクステラ・エナジー(NEE)、水力発電を手掛けるブルックフィールド・リニューアブル・パートナーズ(BEP)、太陽光発電システム大手ファースト・ソーラー(FSLR)などを保有。
2019年8月5日号『バロンズ拾い読み』より
4. How a Climate Scientist Invests His Money 気候科学者の投資 【投資手法】
個人投資家の理想にかなう投資と、リターンを求める投資に折り合いをつける