*ちょうど1年前、FAANGと呼ばれる5銘柄が世界のトップにあった。1年前までの12カ月間でFAANGの株価は52%上昇し、S&P500指数の13%を大きく上回っていた。投資家は大手SNS企業のフェイスブック(FB)、電子機器のアップル(AAPL)、電子商取引大手のアマゾン・ドット・コム(AMZN)、ストリーミング配信大手のネットフリックス(NFLX)、検索エンジン大手グーグルの親会社であるアルファベット(GOOGL)というFAANG銘柄を積み上げていた。
*FAANGと正反対とも言えるWPPCKと呼ばれる銘柄群がある。たばこを除く生活必需品関連銘柄の大手5社で、大手小売業者のウォルマート(WMT)、家庭用品・パーソナル用品大手のプロクター・アンド・ギャンブル(P&G、ティッカーはPG)、飲料大手のペプシコ(PEP)、会員制小売り大手のコストコ・ホールセール(COST)、および飲料大手のコカ・コーラ(KO)。これらの銘柄の2017年夏から2018年夏にかけての上昇率は6%にすぎなかった(配当を除く)。
*ただし、最近の1年間を見ると、FAANGの上昇率が5.7%だったのに対し、S&P500指数は7.2%上昇し、WPPCKは27.1%上昇した(配当を除く)。経済情勢がやや怪しくなり、貿易戦争などから市場の見通しが不透明になり、退屈だが安定した配当を支払う銘柄が以前よりも輝きを放つようになった。つまり、貿易戦争が激化しても生活必需品には引き続き需要がある。
*WPPCK銘柄の配当利回りは、0年物米国債などの債券利回りよりもインカム重視の投資家にとってより魅力的になっている。コカ・コーラの配当利回りは3.1%で、ペプシコは2.9%、P&Gは2.7%。一方、アップルの1.5%を例外としてFAANG銘柄は配当を支払っていない。
*生活必需品セクターに対する投資家心理が改善しており、上場投資信託(ETF)であるコンシューマー・ステープルズ・セクターSPDR(XLP)のような生活必需品関連のファンドに2019年になってから資金が流入している。WPPCKや生活必需品セクター全般は、急成長しているが潜在的なリスクが高いFAANGよりも投資家の関心を今後も引きつけそう。
2019年7月1日号『バロンズ拾い読み』より
4. The Trader 6月としては1955年以来の上昇率 【米国株式市場】
市場の動きが極端になる傾向があるため、強気で上値を追う状況ではないか