*サプライ管理協会(ISM)の9月の製造業景況感指数が8月の49.2から低下して47.8と発表された時、市場はリセッション(景気後退)が既に始まったかのような反応を示した。NYダウは発表後の火曜日と水曜日に合わせて832.21ドル(3.1%)下落、四半期の始まりとしては2008年以来となる最悪のスタートとなった。

*ISM非製造業景況感指数が木曜に市場予想の55.3を大きく下回る52.6と発表された直後にNYダウは300ドル以上の値下がりとなったものの、弱気相場に備えた戦略集を紐解く前に突如反転し、結局木曜日のNYダウは前日比122.42ドル(0.5%)の値上がりで引けた。

*ニューヨーク連銀のモデルは、3カ月Tビルと10年米国債の利回り差から、今後の12カ月間で景気後退に陥る可能性が38%だと示している。しかし、裏を返せば、景気後退入りしない可能性が62%ということになる。リセッションの可能性がそれほど高ければ、株式市場から遠ざかるという手段もあるかもしれない。しかし株価が上昇すればそれを逃すことになり、下落に巻き込まれるのと同様のトラブルとなる可能性がある。

*経済指標から分かる通り、米国の経済成長は鈍化しているものの、たとえ1年前よりも緩やかだとしても、成長は続いている。行きつ戻りつの経済指標に悩まされ、疲れた投資家は、無視するのが一番かもしれない。「景気後退かどうかの論争から少し離れ、景気鈍化のテーマに沿ったポジションを組むように推奨する」

 

2019年10月7日号『バロンズ拾い読み』より
3. The Trader 経済指標と利下げ期待から乱高下 【米国株式市場】
経済指標を受けて景気後退懸念が強まったものの、急速に反発