*自動車セクターは、移民問題に関連したメキシコに対する関税強化というトランプ大統領の方針を受けて大きく下落した。同セクターに対する見通しは暗いが、株価下落は行き過ぎのように思われる。

米国とメキシコの貿易では自動車と自動車部品の比率が高いため、自動車セクターに対する懸念は妥当だ。ドイツ銀行によると、米国の大手自動車部品メーカーは世界全体の売上高の20~40%をメキシコで上げている。従って、ゼネラル・モーターズ(GM)が4.3%、フォード・モーター(F)が2.3%の下落となり、部品大手のデルファイ・テクノロジーズ(DLPH)が7.3%の急落となっても驚きではない。

ドイツ銀行のアナリスト「メキシコからの自動車輸入は約930億ドル相当で25%の関税は約230億ドルだから業界を麻痺させ、大きな不透明感が生じる」。25%の関税が自動車価格に反映されると1台当たり1300ドルの値上げとなり、米国の乗用車販売台数の約18%に相当する300万台が失われると推定。米国の自動車業界は年間で600億ドルの利払い・税引き・償却前利益(EBITDA)を上げているから、これは非常に厳しい状態だが、実際の影響は230億ドルをはるかに下回るだろう。

*こうした状況を株式市場は経験済み。トランプ大統領が大統領候補だった時、北米自由貿易協定(NAFTA)の廃棄を公約。投資家は過剰に反応、2016年9月29日から大統領選当日の11月9日まで、ラッセル3000指数の自動車・自動車部品指数は、NYダウが1.3%上昇する間に6%下落。その後に自動車セクターは素早く反発して、その後の3カ月でNYダウが8%上昇する間に15%の値上がり。NAFTAはその後の2016年末から2018年9月にかけて再交渉が行われて新たな協定が結ばれたが、株式市場にとってはノイズにしかならなかった。

 

2019年6月3日号『バロンズ拾い読み』より
5. The Trader NYダウの下落は6週連続に【米国株式市場】
メキシコとの貿易問題が下落に拍車をかける