*ゴードン・ハスケットのアナリスト、ドン・ビルソン氏は自らを「イベント・ドリブン」アナリストと呼ぶ。

本誌:イベント・ドリブンとは?
ビルソン氏:株価が10%以上動くような事由を探している。M&A(合併・買収)、スピンオフなどの事業再構築、経営陣の交代、大株主の移動など。アクティビズムや環境問題が関係することも。

Q:情報源としてかなりのネットワークが必要?
A:あまりネットワークなどない。公開された情報を使っている。例えば、最高経営責任者(CEO)の年齢も重要。高齢のCEOは危険で、株価の動きを誘発する。特に承継計画を持たない62~64歳のCEOには細心の注意。

Q:投資のリターンが高くなる傾向があるのは生え抜きのCEO?外部からのCEO?
A:経験則では、外部からCEOを招いた場合、数年間は売却の対象にならない。もちろん例外はある。

Q:機が熟していて、妙味のある投資アイデアがあるのはどこか?
A:テキサス州のパーミアン盆地では多くのM&Aの案件がある。昨年にはコンチョ・リソーシズ(CXO)が買収をまとめ、その後ダイアモンドバック・エナジー(FANG)がエネルゲンを買収。今はQEPリソーシズ(QEP)の資産売却話が。他にも出てくるだろう。

Q:あるM&Aが業界内の他のM&Aを誘発するということがある?
A:もちろん。シェブロン(CVX)アナダルコ・ペトロリアム(APC)の案件の後にも多くのM&Aが起きるだろう。パイオニア・ナチュラル・リソーシズ(PXD)も興味深い。CEOが辞任し、元CEOが戻ってくるが、既に65歳を過ぎている。これは非常に危険な状況。

Q:M&Aが連続している他のセクターは?
A:ソフトウエア業界。

Q:複合マネージドケア組織を運営するセンティン(CNC)が同業のウェルケア・ヘルス・プランズ(WCG)の買収を発表したが、管理医療関連で他にも案件がある?
A:モリーナ・ヘルスケア(MOH)が残っている。シグナ(CI)はエクスプレス・スクリプツを買収してバランスシートが危うい。CVSヘルス(CVS)はエトナの統合中。ユナイテッドヘルス・グループ(UNH)は大きくなり過ぎ、何も買えない。アンセム(ANTM)はM&Aをめぐるトラブルが多く、新しいCEOは慎重な姿勢を取っており、今は自らの薬剤給付管理組織を構築中。残っているのは異業種からの参入。アマゾン・ドット・コム(AMZN)ウォルマート(WMT)がモリーナを買収するといったもの。

 

2019年4月22日号『バロンズ拾い読み』より
6. This Analyst Wants to Know How Old a CEO Is CEOの年齢も重要【インタビュー】
イベント・ドリブン・アナリストが予想外の銘柄選びのポイントを明かす