*先週の株式市場が始まる前、投資家は1990年代の再来を期待していた。しかし、替わりに現れたのは1970年代の動きだった。FRBのパウエル議長は、0.25%の利下げは実行したものの、「サイクル半ばでの調整」だとの考えを示し、一回だけではないとの投資家の期待を裏切って水曜日の株価の急落につながった。

*1995年のFRBの利下げもグリーンスパン元議長による「サイクル半ばの調整」の一環であり、その後の約5年の素晴らしい上昇相場の助けとなった。ダウ工業株30種平均(NYダウ)は木曜日に300ドル以上の反発を見せたが、トランプ大統領が中国に対する追加関税をツイートするまでだった。

*ドイツ銀行のストラテジストは、2018年1月以降、市場の天井は関税のニュースに一致していると指摘。例えば、最初の関税のニュースは年初から急騰していた2018年1月の終わり頃にあり、S&P500指数はその後に約10%下落。同指数は回復したものの、トランプ大統領が2000億ドルの輸入品に対して追加で10%の関税を課した2018年9月に再び天井を付け、最終的には約20%の下落となった。今年の5月の6.6%下落の時でも、大統領が一部の中国製品の関税を25%に引き上げたことが先行していた。

*先週の下落は今後に続く最初の下落かもしれない。同ストラテジストは、高値と安値を更新するパターンが気になる。この動きが継続すると、S&P500指数は昨年12月の安値である2351.10を下回り、今年の天井(史上最高値)から22%の下落ということに。可能性は低いものの、そのような市場の動きは「極端な強気と弱気で動く、非常に感情に左右されやすい市場環境」で発生すると同氏は指摘。現在の市場をかなり表しているようだ。

 

2019年8月5日号『バロンズ拾い読み』より
5. The Trader S&P500指数は週間ベースで今年最大の下落【米国株式市場】
利下げはあったものの、関税問題から調整局面が長引く可能性も