酷い急落だ、私のなかでは暴落だ。7番の【米国株式市場】でも「■12月としては1931年以来の下落ペース」との表題がそれを物語る。
ナスダック総合指数は週間で8.4%下落、週間ベースでは2008年以来の下落率で、8月高値から22%下がり弱気相場入りした。
ダウとS&P500指数も同様に急落し史上最高値から各々16%と18%下がった水準だ。

市場の景気認識や、期待する金融政策がFRBのパウエル議長と大きく異なる。
それにもましてトランプ政権での相次ぐ閣僚辞任や強硬な政治手法が市場参加者を極度の混乱に陥れている。
米国を再び偉大にすべく登場した大統領が、その真逆路線で国民を分断の極みに向かわせている。これらが米国経済の先行きに相当暗い影を落としている。
警戒した投資家は市場から離反、その売りエネルギーを自動取引が増幅している。
2000年のITバブル崩壊、2008年の金融危機の陰鬱な日々が甦ってきた。

さて『バロンズ拾い読み』はそのあたりをどう読み解いているのか。
この“暴落”に関連しているのが6番【米金融政策】で、FRBも今回の市場下落を看過できないだろうとの楽観的な見方を紹介している。
2015年夏に軟調な中国経済や国内景気へ懸念から株式が売られた。当時FRBは市場が予想していた9月利上げを12月まで伸ばした。
この時の状況と重ね合わせ、今回の株式市場の下落もFRBは実は気にしていると。
ただし「その動きは緩慢だと」とも言っている。
7番の【米国株式市場】では、旺盛な自社株買いが市場の需給のプラス要因になるはずだと。
株価の動きを見る限り随分もどかしく感じられるのは私だけだろうか。

このような市場環境ながら休暇シーズンのためか今週号には相場急落に対するカバレッジが少ない。
1番のカバー記事【座談会】は、ベンチャーキャピタルとスタートアップ企業が直面する課題と機会を論じながら新興テクノロジーの概観を紹介している。
これは実は大事な記事だ。従来とは異なる要素が企業の公開、未公開の選択基準になっている、この分析が勉強になった。
2番の【IPO】では今後予想されるIPO企業とそれらに投資する際の心構えを説いていた。

米国株式市場はいつの時代も創造的破壊と適者生存で市場の規律を重視し投資家の期待に応えて来た。
それだけは変わらないと信じている。そんな期待を込めながら少し重苦しい気持ちで相場の展開を注視することになりそうだ。

『バロンズ拾い読み』編集人 川田重信