「本来は1年で一番素晴らしい時期と思われているが、市場は1年で最も乱高下した」(9番【米国株式市場】)。
格好は悪いがマーケットは踏ん張ったと言える。
10月からの下げを現時点で振り返ると、2000年のITバブル崩壊や2008年の金融危機というより、
1987年のブラックマンデーに近いように思われる。
もっとも1987年は高値から34%も下落しているのでマーケットの混乱は今回よりも随分と深刻だった。
コンピュータによるプログラム売買、つまり株価が下落するとその損失を縮小させるよう自動で売り注文を出す、
ポートフォリオ・インシュランスという新手の取引手法が普及し始めたころだ。
10月19日(月)はそのプログラム売買が荒れ狂い、マーケットはスパイラル的に売りが止まらず
結果的に1日で22%も下がった。
暴落当時の混乱の中で、市場関係者はその“真犯人”探しに躍起になっていたの鮮烈に覚えている。

今回は米中貿易戦争、FRBと市場の認識の乖離、そして言わずもがなのトランプ政権のドタバタが下落の背景にある。
これら不安定要素がもたらす市場の歪みを感情移入無しのAI取引が冷徹に突いてきた。
その結果、売りが売りを呼ぶお決まりのパターンで投資家がノックアウトされた。
一日を通してみると、取引時間の後半からボラティリティが急激に高まり、
買い持ちのポジションは引け間際に崖から突き落されるのが特徴だ。
とりわけ12月に入ってからは暴力的な下げは投資家のリスク回避モードを極端な水準にまで高め
そのまま年を終える格好になった。
テクノロジーの進化に市場参加者がついていけないのか?これが1987年当時との類似点かと思う。
ちなみに9番の【米国株式市場】の前半でもこのテーマを扱っている。

さて今週のカバー記事はウォルト・ディズニー。2015年からレンジ内にあった株価の上昇期待を語っている。
2番の【投資信託】では同じインデックスファンドなのに経費率の大きい商品を実名入りで批判している。
日本でも、異常に手数料の高い商品がいまだ幅を利かせている。
販社のビジネスモデルがこの高い手数料に依存しているので構造的な問題だ。
5番の【ミューチュアルファンド】では今回も優秀なファンドとその運用者を紹介している。
ただし実績を見ればベンチマークと差異は無い。
運用哲学や規律という“手かせ足かせ”、投資家資金の出入り、そして運用・販売に伴うコストを考慮すれば当然だ、
だからインデックスファンドなのだ。
6番の【ファクター投資】も同様にインデックスファンドに軍配が上がる理由を説明している。

今年の取引は31日(月)を残すのみ、下落が始まってからの日柄や、AIという急落の犯人特定、そして妥当なバリュエーションを考慮すれば、
この急落の嵐も峠を超えたと思いたい。

『バロンズ拾い読み』編集人 川田重信