「もうそろそろ一服」という声が高まる中で好材料が相場を後押しした。主要指数(除くS&P500)は昨年12月24日を底に8週続伸だ。これで昨年9月の高値までダウで3%、S&P500は5.6%そしてナスダック総合なら7.4%にまで迫っている。この自律反発とも言える反転相場を私は米国市場の持つ「自然治癒力」のなせる業と理解している。

相場の自然治癒力?そう、人間の体同様に株式市場にはその力が備わっていて米国市場はこれがことさら強力だ。市場がなにかの拍子に打撃をこうむる。するとそのダメージを克服すべくあらゆる方策をもって修復作業が行われる。今回の場合で言えば、過度な自信がもたらす“買われすぎ”の後、実体経済の減速や国際情勢の不透明感を織り込む調整が始まった。その過程では視界不良や相場の需給悪化で景気後退をも織り込むような行き過ぎを演じた。

しかしここからが自然治癒力だ。株式市場と距離を置いていたと思われていたFRBが市場に応援メッセージを送り始めた。さらに政権と議会の不協和音に続き最大の懸案事項の米中貿易戦争にも曙光が差してきた。健全な市場へ自然治癒力が作用する環境整備がなされたわけだ。その結果今回も、株価反発と過度な悲観論後退が相互に作用し合いその好循環が2か月も続いている。

ところで株価と実体経済の関係について、実際に先週の米国小売売上減少の理由は株式市場の下落も原因とのとのレポートもいくつか出た(6番【コラム】)。両者の密接不可分な度合がことさら高いのが米国だ。つまり株式市場は企業や一部資産家のものではない、本当に大事な国民全体の共有財産なのだ。

だから市場の自然治癒力を最大限に発揮できるよう国全体でサポートする、それが実体経済の健全な発展には必要不可欠との認識が国民に支持されている。そうなると企業自身は株主からの圧力も事業の推進力に変えて今まで以上に努力せざるを得ない。それが業績向上に結び付き株価上昇にもつながる。要は株価の妥当な上昇は米国にとって「必然」であるべきで「正義」でもある。

ちょっと言い過ぎか?そんなことはない。米国の経済発展と株式市場はまさに表裏一体の関係だ。それが日本人にはどうしても理解できない。だから振り返れば米国の株価は万年割高、いやバブルに見える。自分が体調不良だから、あいつもいずれそうなる。いやならないのはおかしい、なるはずだ。こんな歪んだ理屈が市場参加者の共感を呼ぶようなメディアの論調が幅を効かすようになる。こう見える私のほうが歪んでいるのか?

少し力みが過ぎた。さて今週のカバー(1番)は【マリフアナ関連銘柄】、2番が【データセンター】で銘柄はエクイニクス(EQIX)、コアサイト・リアルティ(COR)、アイアン・マウンテン(IRM)、そしてオランダのインターシオン・ホールディング(INXN)の4銘柄。また3番の【ロボティクス】ではファナック(6954)と安川電機(6506)が紹介されている。毎年恒例のバークシャー・ハサウェイの株主の手紙が2月23日(土)に発表(10番【経済スケジュール】)。

企業決算も8割がた出終わった。そして相場は9週続伸なるか。もうそろそろ一旦休憩でしょう、そうやって期待値を下げておくと上がったときに嬉しい。ありがとうアメリカ株式。

『バロンズ拾い読み』編集人 川田重信