主要指数は先週派手に切り返した。これで過去12週中10週上げている。ダウ(週間で+1.6%)はボーイングの下げ(-10.3%)が上昇を鈍らせたが年初来では+10.81%、S&P500(+2.9%)は+12.59%だ。そしてナスダック総合(+3.78%)は15.87%も上昇している。S&P500とナスダック総合は10月9日の高値にまで回復した。

この好調な戻りをどう解釈するか?一つは業績下方修正の行き過ぎの反動期待と市場にフレンドリーな金融政策の組み合わせがもたらすゴルディロックス(適温)相場の再来。もう一つは9番の【米国株式市場】にあるが「■景気再加速を示唆する経済指標」の先取りの可能性だ。「コンテナ出荷量を示すハーパー・シッピング指数は1月末に底入れ後上昇基調。同様にブルームバーグ・ベースメタル・スポット価格指数は今年6.8%上昇し、バルチック・ドライ指数の上昇も始まっている」。

これらの指数の底打ちと株価ボトムとがほぼドンピシャなのが面白い。株式や商品すべてのマーケットを横断的に眺める全知全能の投資家やAIマシーンが経済の体温や市場の動静そして投資家心理を的確に読んでマーケットを先取りしているのだろうか?もしそうなら短期のあやを取りに曲芸のような売り買いをしても勝ち目はない。

今週は特集企画が2つ。カバーの【投資特集】は経済のグローバル化の反動について「グローバル化の反転→グローバル化の功罪→サプライチェーン移転→どんな企業が中国に残る?」という順番。議論の大半は米中貿易戦争の原因と渦中の企業の対応についての分析だ。銘柄は電動工具メーカーのスタンレー・ブラック・アンド・デッカー(SWK)、ウエアラブルカメラメーカーのゴープロ(GPRO)、玩具メーカーのハスブロ(HAS)あたり。また中国銘柄ではEMS(受託製造)のゴアテック(002241.中国)、化学品メーカーのハンツマン(HUN)などが登場する。

もう1つの特集は【エネルギー】でこれは毎年恒例のラウンドテーブル。エネルギー銘柄は過去5年で随分下落し長期の見通しも不透明なまま。実際にS&P500のセクターウエイティングも10年前の約13%から現在では5.4%にまで低下。パネラーの一人も「成長株投資の銘柄ではなくレラティブバリューやバリュー戦略の銘柄」と断っている。個人的には投資のタイミングや銘柄選別の仕方が分からない。ETFを含め何銘柄か取引したが勝因も敗因もすっきりしない。この分野に精通した投資家が読めば面白い記事だろう。

他には2番で【ボーイング】、3番の【鉄鋼銘柄】ではUSスチール(X)、コマーシャル・メタルズ(CMC)、スチール・ダイナミクス(STLD)そしてニューコア(NUE)。さらに7番ではモバイル決済の【スクエア】。

さて、先週の『バロンズ拾い読み』にウィンテル(パソコンのOSのマイクロソフトとCPUの王者インテル)を取り上げたが両社は90年代の最強コンビだ。米国には株価が500~600倍に化ける銘柄が多数あることをこの両社を引き合いに出して投資家に訴えていた。ただし1971年公開のインテルは当時でもすでに3000倍になっていた。今でもこの両社が世界のトップ企業として輝きを放っているのが素晴らしい。

直近の経済紙に日本のテンバガー(株価上昇10倍超)銘柄がリストで掲載されていたので、改めてこの二銘柄の上昇率を振り返った。マイクロソフトは1986年3月13日に21ドルで公開。当時の1株が現在では288株に株式分割で増えリターンは約1200倍。もう一つの雄、インテルは1971年10月13日に23.5ドルで公開。最後の株式分割は2000年だがそれまでに1株が1215株に増えた。2000年8月に約75ドルの高値があるようでリターンは3800倍超だがその後の下落と戻りで現在の株価なら約2700倍程度。ついでにいうとグーグル親会社のアルファベットは2004年8月18日にIPOで現在までに約25倍(にしかなっていない)。ほぼ同時期にIPOしたドミノピザ(35倍)とどっちがより儲かったか?とトリビアになっていた。

東証1部の最低時価総額40億円から250億円に引き上げを議論する東証だが、S&P500採用企業はどんどん条件が厳しくなり直近では1兆円程度が下限だ。米国には苗木が若木に、そしてそれが天を突く大木になる可能性を秘めた会社がある。その一方で、途中で朽ち果ててマーケットという森の腐葉土やたい肥としてその役目を果たす会社もまた多い。ひるがえって日本では観賞用の盆栽を愛でるがごとく小ぶりな会社を大事にするのが好まれるようだ。少なくとも自分の資産は盆栽ではなく、若木と大木が競い合いって新緑がまぶしく青々と茂る森に投資したい。日本人は本来の投資と盆栽鑑賞が一緒くたになっているのか?そんなはずはない、いやそうかもしれない。ありがとうアメリカ株式。

『バロンズ拾い読み』編集人 川田重信