主要指数の中ではナスダック総合が10週続伸した。その他の主要指数も10週間中9週でアップ。昨年9月20日の高値までダウはあと2.4%、S&P500指数は4.5%、ナスダック総合だと5.7%にまで迫った。この2か月間でのS&P500の上昇率は11.08%で、2か月間での上昇率としては1991年(+11.16%)以来とのこと、少し調子に乗り過ぎ?

今回の上昇相場は2009年3月9日を底にスタートしたので今週末がちょうど10周年だ。この間の上昇は年率17.69%(含配当)でITバブル崩壊後(1999年末以降)の5.42%の3倍のペース。また東西冷戦終了(1989年末以降)の9.64%の約2倍、さらにS&P500指数が創設された1926年からの10.09%と比べても圧倒的に高い。もっとも金融危機では2017年10月高値から56%下落しているのでその反動もあるのだろう。

さて、株価の居所を決定するのは金利と企業業績。金利は市場反騰の原動力だがこの間の株価上昇で少し変化している。今年12月まで利上げではなく利下げの確率は先週火曜日の21.6%から週末には2%にまで低下。一方でなりを潜めていた利上げ確率はほとんど皆無の1.3%から7.7%にまで高まった。

もう1つの企業業績は最近アナリストの下方修正が目立つ。ある四半期の企業利益について、最初の2か月でアナリストがどれくらい期中利益を下方修正したかを見ると、2019年1Qの四半期では1月、2月で6.5%だ。直近20四半期(5年間)の平均は2.4%で40四半期(10年間)なら2.8%、過去60四半期(15年間)では2.9%なので直近四半期はこれらと比べ相当大きい。もっとも2015年1Qには8%だったし2016年1Qもそれ以上下方修正されている。

予想利益は、今回に限れば株価下落が先取りしアナリストは後追いした格好だ。ただし米国の場合は株価が消費行動や設備投資に与える影響が大きい。つまり株価下落が先にあってそれが実体経済を下押ししたのかもしれない。したがってあながちアナリストが後追いと責めるわけにもいかない。市場重視の経済がもたらす宿命的な不確実性ともいえよう。

米国らしいのはここからで、今回のように下方修正が大きい分だけ今後ポジティブサプライズの期待度合が大きくなる。こんな風になんでも前向きに捉えるプラス思考が米国株投資には大事だ。2週間前に米国株式の自然治癒力について言及したが、このプラス思考もまた米国株式の自然治癒力の源泉と言える。

現時点でのバリュエーション(PER)は予想利益の16.2倍程度だ。過去5年の平均は16.4倍で、10年だと14.7倍。つまり年後半に予想利益の上振れ確度が上がれば、それにつれて株価もまた上昇余地があるはずだと。こんな楽観は心配性の日本人のコンセンサスにはならないだろう。でも過去100年をとっても、やはり年率10%強を実現してきた米国だ。私は米国人の株価上昇への“使命感”を信じる。

さて今週のカバー(1番)は【遺伝子治療】だ。「遺伝子治療は多くの遺伝性疾患に役立つ可能性」としてユニキュア(QURE)等、専業7社を紹介。2番の【食品銘柄】では売り込まれたこれらの銘柄は割安で買いか?さにあらず、消費者行動の大変化が成長を妨げているから。銘柄はキャンベル・スープ(CPB)、JMスマッカー(SJM)等。また3番の【インタビュー】では半導体製造装置、9番の【米国株式市場】ではアップル関連の光学部品メーカーのルメンタム(LITE)に言及。

ところで、週末の日本の新聞、投資情報誌には米国株式への偏った見方が溢れかえっているがこれには長い間辟易してきた。要は“米国株式投資は割高で危ない”一方で“日本株はここがねらい目”ときて“安く買って高く売れ!”。その上で“これが日本のバフェット銘柄”。本当にバカげているが、見識あるマーケットの権威者の意見として堂々と紙面を飾っている。同じ株式でも日本株と米国株は両国のおかれた立場や経済の仕組みそして文化的背景を色濃く反映している。これらを同一の投資対象として論ずるのは全く間違っていると思うがこれ以上は言うまい。それより米国株式の“本当”を平易に語る『バロンズ拾い読み』を読み込んだほうがいい。ありがとうアメリカ株式。

『バロンズ拾い読み』編集人 川田重信