株価は金曜の上げで週間での上昇をもぎ取った。昨年のクリスマスイブ以降14週間たったがその間ダウは11週(年初来及び第1四半期で+11.2%)、S&P500(+13.1%)とナスダック総合(+16.5%)は12週、そしてナスダック100(+16.6%)は13週も上昇している。S&P500の四半期上昇率は1998年第一四半期以来とのこと。メディアが伝える根拠薄弱な“怯え”とは裏腹に随分と派手に上げたものだ。

毎週日曜早朝は『バロンズ拾い読み』を編集しながら日本の経済メディアにも目を通す。曰く「霧晴れぬ新年度相場」、「株偏重やめリスク分散」、「(資産の)入れ替え時を逃さない」、そしてトドメは「債券に配分してダメージ軽減」。キーボードを叩きながら「こんな報道を読んで誰が株を買うのか?」と同時に「紙面作成に携わる人の精一杯の誠意かもしれない(=株は危ないから離れときなさいッ」」そしていつも結局「俺の投資は米国株式だけでよかったぁ」に落ち着く。長年こういう独り言を反芻している。

さて今週の『バロンズ拾い読み』だがカバー【通信銘柄】は通信大手4社の上位2社、AT&T(T)とベライゾン(VZ)の比較だ。この両社の株価は昨年春頃まで似たような動きだったがその後はベライゾンが上値追いしAT&Tが下値を探っている。両社の戦略は真逆でベライゾンは携帯電話を中心にネットワーク事業をますます重視。一方のAT&Tはコンテンツ事業を積極的に取り込み他社と差別化を図っている。この戦略の違いに対し投資家は明らかにベライゾンを支持してきたが『バロンズ拾い読み』ではAT&T反転の可能性を探っている。

2番の【動物医薬品銘柄】では最大手のゾエティス(ZTS)、競合のエランコ・アニマル・ヘルス(ELAN)そして規模の小さいフィブロ・アニマル・ヘルス(PAHC)が対象銘柄だ。
ゾエティスは2013年にファイザーからスピンオフして以来株価は年率25%で上昇してきた。またイーライリリー傘下のエランコは昨年9月のIPO価格を35%上回っている。両社長のPERはそれぞれ28倍強と30倍で割高だがこういう銘柄が実は上値追いに値するので要注目だ。

4番【インタビュー】では証券会社カウエンでマリフアナ(大麻)を担当するアナリストのインタビュー記事だ。選好銘柄はカナダの医療用大麻の製造会社、オーロラ・カナビス(ACB)、キャノピー・グロース(CGC)、ティルレイ(TLRY)の3銘柄だ。昨年株価が乱高下して日本のネット証券でも話題になった。短期のトレーディング、もしくは話題が尽きた時に静かに拾って大手食品・飲料との提携か買収のニュースを待つのが投資方針だと思う。だがそのタイミングは私には分からない。

先々週マーケットを揺らした長短金利逆転については、その後市場に目立った反応がない。となれば後追いで現状擁護の声が出始めるのは洋の東西を問わない。これに関連した記事は5番の【コラム】の後半、7番の【債券ETF】ではイールドカーブの形状を予想した投資をしたい投資家へのETF銘柄の紹介、8番の【配当金投資】ではこの低金利下での高配当銘柄を紹介している。

先週までの米国出張の余韻がまだ少しは残っているのでつい「日本人投資家ってなんて不幸」が頭によぎる、そして悔しい!「なんで大事なお金をそんな儲からないものに投資するのか?」、「なんでそんな歪んだ報道に影響されるのか?」、「『バロンズ拾い読み』ならまた違った風景が見えるはずだが」。

ここで深呼吸!これら『バロンズ拾い読み』の記事に意味があるのは、米国市場という森が豊かでうっそうと茂っていることが大前提だ。そしてその森の中でどの樹木(銘柄)に注目するかに弊誌が投資家目線のアドバイスをするからだ。つまり森全体(指数)が1年で7%超成長する中でタケノコのようにもっと早く伸びる若木に魅力を感じるのか、ゆっくりだけど幹が太くたわわな実が成る丈夫な樹木に自分の大事な資金を託すかの選択に的確なアドバイスするからだ。そもそも森が縮む、、これ以上は言わない。

プロ野球とMLBがようやく開幕した。私はMLBで日本人選手が活躍するのがたまらなく楽しみだ。ところで日米の株式市場はこのスポーツには例えられないくらいの距離がある。しかし日本のトッププロでなくても米国株式市場にはだれでも参加でき平均点は保証されている。ただしその平均点には日本にいては到底到達できない高額のご褒美が用意されている。なんと大らかなで豊穣なマーケットだろう。ありがとうアメリカ株式。

『バロンズ拾い読み』編集人 川田重信