■概況
またまた強い!ダウ(-0.1%)は下げたがS&P500(1.2%)、ナスダック総合(1.9%)ともに史上最高値を更新して引けた。決算発表(S&P500構成銘柄中230社が発表済み)と金曜の第1四半期のGDP(+3.2%成長)が相場を押し上げた。さてこの後どんな好材料が期待できるのか?相場は少し「ユーフォリア(=多幸症)」状態のようにも見える。季節的にも危うい時期に突入する。どこでどう崩れるのか?これを“観察”だけではなく“体験”するのが正しい相場との付き合い方だ。

■「5月に売ってどこかに行け」の信頼性に疑問
月次ベースなら5月と6月はパフォーマンスが良くない、これはそれなりにはっきりと数字が答えている。ただし少し別の見方だとどうか?過去50年(過去5年)のダウのパフォーマンスだが、毎年11月1日から翌年4月末までの平均上昇率は7.55%(5.48%)だ。それに対し5月1日から10月末までは0.31%(4.31%)。つまり夏場とそれ以外の期間のパフォーマンス格差が随分縮まっているのだ(5番【コラム】)。こうなると5月に売って秋に買い戻す曲芸めいた芸当が器用にできるか?やる意味があるのか?悩むところだ。私?前にも言ったけど何もしないつもり。

■今週の特集【ファンドマネー調査】と【バークシャー・ハサウェイ】が目玉
カバーはプロのファンドマネジャー148人へのアンケート調査を取りまとめた恒例の企画【ファンドマネジャー調査】だ。こういう記事でストラテジーを立てる人はいないと思う。ただし回答者は機関投資家や投資信託なので職務上与えられたマンデート(委託された権限)の範囲内で運用し顧客にきっちり説明がつかないとダメ。なのでどうしても無難な答えになる。これがヘッジファンドだと奇をてらった物言いで世間の耳目を集めるのもマーケティング手法かもしれない。さらっと眺めておく程度でいいと思う。ただし質問の中で「あなたは職務上のポートフォリオは今年S&P500を上回っているか?Yes/No」と問いかけ、同時に「ではあなた個人のポートフォリオは?」とくる。これが面白い。日本のサラリーマンファンマネは考えたことがないかな?ところで彼らは自己資金を投入しているだろうか?

次がバークシャー・ハサウェイ。例年この時期(今年は5月4日)は同社の株主総会だ。『バロンズ拾い読み』も長年バフェットを追いかけている。今回の記事では同社とS&P500のパフォーマンスを年初来、過去1、5、10,15そして20年で比較している。同社がS&P500を上回っているのは過去20年(7.4%対5.9%)だけ。それはそれですごいことだが、それ以降はすべての期間でS&P500に負けている。相場の神様も神様のままでは終われない、それでも相場の中にいる、そこがまた尊敬される所以だ。真の神様とは相場の参加者全員の“総意”だと思う。記事中に自社株買いや後継者問題への提言もある。バフェットの「今」をアップデートできる。

4番【インタビュー】では著名ファンドマネジャーに運用方針と銘柄を尋ねている。今回は運用資産14億ドル(1500億円)ながら投資対象を25~30銘柄に絞り込んで投資するサンドヒルIMという運用会社のファンマネだ。銘柄は山岳リゾート施設運営のベイル・リゾーツ(MTN)、画像編集ソフトウエアのアドビ(ADBE)、金融情報処理システムとサービスのファイサーブ(FISV)、さらにあと2,3銘柄紹介している。

ETF(上場投資信託)は今週も取り上げた(8番【ETF】)。テーマはファクター投資で今回はマルチファクターETFの紹介だ。このETFの組成には①個別の銘柄の動きを説明する「ファクター(バリュー、グロース、株価モメンタム、ボラティリティ、時価総額等々)」を特定、②複数の「ファクター」をベースに指数を考案・設計。その上でその指数に追随する銘柄をETFに組み込むことになる。記述が少し込み入っていて内容が分かり難いと感じる人もいるはずだ。ただし機関投資家ならいざ知らず個人投資家には不要な商品だ。なぜか?結局はS&P500(SPY、東証1557)やナスダック100(QQQ、1545)等の平易で分かりやすい指数に追随するETFにはパフォーマンスで勝てないからだ。ではなぜこの記事に注目すべきか?対面の証券マンが、これらと同じく理解が困難で高額手数料の投資信託をあなたの耳元で囁いたときにはっきりと「No!」と言えるようにするためだ。

■出戻り証券マンのつぶやき
さて、あと8日もある10連休をどうする?私の場合、2回の土日4日間は『バロンズ拾い読み』の制作に没頭できる(ヘッ、ヘッ、ヘッ)。さらに火曜からまたまた米国に出張だ。バフェットのオマハではなくテキサスのオースティンだ。ここでTAMP(Turkey Asset Management Program:中小対面証券や独立系証券マンにプラットフォームを提供する専業アウトソーサー)の大手がコンファレンスを開催するのでパトロールしてくる。
ところで今後日本の対面証券ビジネスには未曽有の逆風が吹くと思う。ただし志のある証券マンには大チャンスだ。もしあなたがそうなら同じ業界人として日本の個人営業のあるべき姿を一緒に語り合いたいものだ。ありがとうアメリカ株式。

『バロンズ拾い読み』編集人 川田重信