■概況
金曜の雇用統計で相場は反発し、主要指数はダウ(-0.1%)を除き週間でも上げた。昨年12月24日の安値から19週経過したが、その間ダウは13週、S&P500は16週、ナスダック総合17週、そしてナスダック100はなんと18週も上昇している。年初来の4か月の上昇率(S&P500 17.5%)は史上4番目だ。これより高率は我々の経験範囲では1987年(19.1%)のブラックマンデーだ。1975年(27.3%)を実体験している人は極端に少ないはず。近年では1983年(16.9%)、1998年(14.6%)そして1991年(13.7%)も大きく上昇した。

■今週のカバー【推奨銘柄】
ミレニアル世代(1981年~96年生まれ)が米国小売売上高の4分の1を占有。彼らがベビーブーマー(1946年~64年生まれ)から消費の主役の座を奪いつつある。この世代交代の中での期待の5銘柄を紹介している。①ズオラ(ZUO)はサブスクリプションサービス向けに、請求、売り上げ認識や分析等のバックオフィス機能を提供するクラウドプラットフォームの販売。②ファッション小売りサイトのファーフェッチ(FTCH)、③ホームセンター大手ホーム・デポ(HD)、④家具メーカーのラブサック(LOVE)、⑤スポーツ用品大手ナイキ(NKE)だ。ホーム・デポとナイキ以外はIPO間もない赤字企業。ネットでググるとそれなりに情報はある。

■やはり【ETF】
最近のBarron’s月初号はETF特集だ。今回はBarron’sの6記事のうち『バロンズ拾い読み』では4つ拾った。【ETF①】ではETFを使ったポートフォリオ構築、【ETF②】でトップアドバイザーのETF利用法、【ETF③】ではファクター投資、そして4つ目【投資指南】はバンガード創設者の故ボーグルが2007年に執筆した記事だ。投資の4つの秘訣として、“経費”、“分散”、“資産配分”、“沈着冷静”への目配せの重要性を説いている。これらを充足する投資手法がETFだと簡単に実現できるということだ。

■その他はウーバー、アルファベットに人工肉のビヨンド・ミート
2番の【IPO】では今週金曜(5/10)に公開予定のウーバー(UBER)。競争激化や法制面でのリスク、さらには自動運転車によるロボタクの出現がもたらす業界の変革。これらの課題が山積するなかでのIPOには辛口の評価。

9番のアルファベット(GOOGL)は先週の決算発表で株価が急落(-7.5%)したが、情報開示の強化と自社株買いが急務という。

最後の10番【経済スケジュール】のコラムでは5月2日(木)IPOのビヨンド・ミート(BYND)に言及。要は人間がどれだけ植物性タンパク質を受け入れるか?

■出戻り証券マンの独り言
TAMP(Turkey Asset Management Program:中小対面証券や独立系証券マンにプラットフォームを提供する専業アウトソーサー)の大手主催のコンファレンス、“ENVESTNET ADVISOR SUMMIT 2019”に参加した、場所はテキサス州オースティン。参加者総数3000人で協賛スポンサーは100社をゆうに超えていた。日常業務で最終投資家との接触は証券外務員や投資顧問業者だが、彼らの日々の活動を可能にする運用商品や運用手法を提案、そして彼らの活動を背後で支えるプラットフォームがインベストメント・チェーンとして上手く分業されている。その分業を担う各事業体が顔を揃える大集会だ。

さて、米国人の集会の基調メッセージは必ずと言っていいほど「リーダーシップ」だ。これは社会や業界を牽引する指導者の素養、力量、統率力ということだ。初日最初の基調講演で主催者側CEOは英国首相チャーチルを引き合いに出した。また二日目の最重要セッションでは元国務長官のコリン・パウエルが自らの経験を元に「周到な準備やコミュニケーションの重要性」を説いていた。全員起立で彼を出迎え最後は総立ちで拍手だ。資産運用業界のコンファレンスで戦時下の英国首相に範を求め、外交と安全保障の元トップに教えを乞う、これが米国だ。自由と自治を求めて独立を勝ち取った、そしてその権利を守るために今も戦い続ける。いわば“戦時状態”の中で、資産運用業界の存在と発展の意義を見出す。この姿勢は米国社会の隅々まで浸透していると感じるが日本には無い“空気”だ。

おりしも週末の日本の投資週刊誌の見出しは「ツワモノの教え、1億円長者、機動力で殖やす」。この表題で普通の投資家は資産形成を期待できるだろうか?人生に必要な資産を自ら勝ち取る、これはいい。そしてそのノウハウもまた自ら習得、これも正しい。しかしそのノウハウたるやとてもじゃないが普通じゃない。こんな鉄火場修行を誰ができるだろうか?普通の人が当たり前に投資して普通じゃないリターンを獲得できるのが米国株式だ、『バロンズ拾い読み』を読めばそれが分かる。ありがとうアメリカ株式。

『バロンズ拾い読み』編集人 川田重信