■概況
ダウ4.7%、S&P500は4.4%、そしてナスダック総合は3.9%上昇した。これでダウは6週、そしてS&P500とナスダックは4週続落でとりあえず止まった。6月10日に予定されていたメキシコからの輸入品に対する5%の関税発動が見送られるとの報道や、FRBが利下げに動くとの期待が株価上昇の要因となった。

■今週の記事
1番【JPモルガン・チェース】ダイモン氏に率いられた巨人が勝利を収めつつある
2番【MMT】現代貨幣理論について投資家が知るべきこと。
3番【ハイテク】反トラスト法調査の影響。GAFAを巡る投資家の懸念は行き過ぎ
4番【金利動向】 1年で0.75%ポイントの利下げを見込む中、今後の展望と対処を考察
5番【インカム投資】インフラ関連企業
6番【米国株式市場】貿易戦争の影響やFRBの緩和姿勢を見極めるには時間が必要
7番【女性アドバイザー】なぜ女性のアドバイザーはもっと増えないのか
8番【コラム】強い経済に影を落とすトランプ氏の政治的意向 雇用市場の減速
9番【米国債券市場】低金利が永遠に続くと思ってはいけない
10番【経済関連スケジュール】「配当貴族」は市場のボラティリティも軽やかにかわす

■出戻り証券マンの独り言:
また米国にきている。ボストンからバスで3時間のところに娘の大学があり、その卒業式に出席するためだ。大学にとって卒業式は最大の行事なのだろう。いたるところでこの日のために集まった両親、親戚(さらにそのまた知り合いまでも来るようだ)。そしてこの日に合わせた卒業生のリユニオンなど、多くの関係者が昼夜を問わずキャンパスで歌や踊りを楽しんでいる。

この小さな大学街にはこれだけの人を受け入れる宿泊施設がない。そこでキャンパス内の学生寮が来訪者に開放され私もそこに泊っている。部屋に入った途端に昨日までいたであろう学生の生活臭が鼻孔をくすぐる。共同のシャワールームやトイレ。そして夜中まで絶えない人の出入りと、廊下を通して聞こえてくる宿泊者のおしゃべりもまたこの一大行事を盛り上げるのに不可欠な演出か。

さて、その卒業式に先立って土曜日にはバレディクトリアン(卒業生総代)や各種活動で顕著な活躍を見せた学生の表彰式が開催された。バレディクトリアンに選出されるには最高で4点のGPA(学業成績評価)で満点の4点が必要で、1000名を超える対象者のうち選出されたのは6名だけ。さらに3.99が3名といった具合だ。そして満点6名のうち半数ぐらいがいわゆる中国系だ。一般に米国の大学の学業に対する厳しさは有名だが、その頂点を極めた半数が中国系なのだ。

またフラタニティ(男性)、ソロリティ(女性)と言われる学生の自主組織があり、その活動拠点の寮が主催する食事会も覗いた。どちらもアジア系の学生が多く所属する組織なのだが、そこでも中国人学生の“お母さん”が積極的に周りとコミュニケーションする。

マーケットでは米中貿易戦争が最大の懸念材料だが、米国国内でも中国系アメリカ人は目立つ存在だ。大学に集まる彼らはとにかく勤勉で優秀。と、ここまでは日本人にもあてはまるかもしれない。しかしその数の多さ、積極的かつ戦略的姿勢が日本人との差異ではないか。この短い滞在と限られた観察から何かを断じるのは危険だ。しかし80年代にMBAで勉学の機会を得て以来、中国人の存在感や米国人の中国への関心の高さは耳目に触れてきた。

そしてここまで大きくなった中国の存在と米国で活躍する中国系アメリカ人を見ると、両国の関係は日本で喧伝されるよりはるかに深くて重層的なことが分かる。今みたいに米中はケンカしているようで、実は高度なレベルでの相互理解が可能なベースがあるはずだ。その両者はケンカも仲直りもそして一致協力も大人の対応ができる素地があるということだ。

日本で日本人のためのそして日本中心の報道だけだと見えないことも多いのではないか。それは株式投資にも言えまいか。ありがとう『バロンズ拾い読み』、ありがとうアメリカ株式

『バロンズ拾い読み』編集人 川田重信