■概況
主要指数は史上最高値を更新して引けた。S&P500は年初来20.22%の上昇だ。年間の上昇率では一昨年2017年に+19.42%がある。それより前の大型上昇だと2013年に29.62%、2009年が23.44%で2003年も26.38%上がっている。さらに遡ると1995年からの5年間は毎年ほぼ20%以上上昇するインターネット革命の大相場だった(95年34.11%、96年20.26%、97年31.01%、98年26.67%、99年19.53%)。

ただし今年は約半年で20%だ、これを年率換算した上昇率は、1958年の+38.06%や1954年の+45.02%まで記録を辿ることになるが、さすがにここまでは考えにくい。とは言っても、昨年年初のS&P500は2823で直近が3013なので+6.7%。これが過去約1年半の上昇率だからそれほど異常な値ではないだろう。

さて、直近の相場が利下げを十分織り込んだとすると今度は企業業績だ。今後数週間は第2四半期の決算発表が注目点。第1四半期の増益率は前年同期比+0.8%だったが第2四半期は現時点で同2.7%の減益予想だ。ただし過去5年間、実際の増益率は市場予想を平均で3.7%ポイント上回ってきた。これを当てはめると第2四半期は1%程度の増益に着地する。S&P500構成銘柄のうち今週は56社で翌週は122社そしてその次の週は121社が決算を予定している。(4番【米国株式市場】)

■今週の記事
カバーは【今後の市場見通し】、ラウンドテーブルの年央版
『バロンズ拾い読み』一番の名物企画はラウンドテーブルだ。これはウォール街の著名人が相場の見立てと銘柄を年初に披露しているが、今回はそのアップデート。詳しくは中身を読んで欲しいが一言加える。昨年の年央に推奨した銘柄で景気循環やバリュー銘柄は成績が良くない。参加者にベテランが多いことで、地政学リスクや経済見通しは保守的になりがち。その一方で、彼らの経験則でもここまでの低金利をシナリオに入れ込めていない。その結果総じて割安や中・小型銘柄が中心で成績は芳しくない。つまり直近10年間好調な大型グローバル、ハイテク、そしてモメンタム銘柄を素直に選べていないのが実態だ。

例えば新債券帝王のジェフリー・ガンドラックは2016年から名を連ねているがとにかく弱気一点張りで成績はさっぱり。それが理由なのか今回以降はメンバーを降りた。他にもパッとしない人がいる。どんな達人もやはり時代の後押しが必要だしその人の“旬”とか“賞味期限”があるように思う。さらに過去の成功体験に拘泥し自己否定できないのがアダになっている。もちろん資金を受け入れる際の投資マンデート(委託された権限)は簡単に変更出来るものではないのでそれも足かせだ。

言えることは、マーケットは常に人知を超えた動きをするので謙虚さと素直さも投資の大切な要諦かと思う。この企画を随分長いこと眺めていてそれが実感だ。その点でも「S&P500のETFはシンプルな時価総額加重なので、恣意性が排除され相場の“現実”に素直に向き合う投資手法」といつもの台詞。

■出戻り証券マンの独り言:
①エイチ・エス証券とマネックス証券でセミナー
エイチ・エス証券とマネックス証券のセミナーで多くの方々に参加頂いた。私のメッセージは単純明快で「米国株式の長期保有が資産形成には極めて有効」の一言に尽きる。有能な投資家の方々からは「川田、レベル低い、また同じことを」と思われているに違いない。だけど私の目標はいまの仕事をしながら、いかに効率的に資産を増やすかだ。“鉄火場修行”は馴染まないし“卓越した相場感”は持ち合わせていないのでこれが自分の性に合っている。そして、多くの資産形成層も私と同様な環境や条件にあると思う、そういった方々に私の経験が少しでも参考になれば良いと思っている。

さてセミナーの参加者の中には米株長期投資を実践しその効用を十分に享受しておられる方もいて頼もしい限りだ。一方で「いま70歳だがそれでも今からこの手法が必要なのか?」→「あと30年は社会と関わる、なので取り崩しは90歳から考えること。それまでは10年で2倍、20年なら4倍増が望める」っと。「川田さんは米株を今後も売らないといったが、どういう意味?いつ売るのか?」→「働ける間は収入を得ながら社会と関わりたい。将来株式投資で資産が残ればそれを社会に還元していく、例えば米国の大学には寄付を株式でする人も多い。自分もそうできれば嬉しい」。ほんの少しの習慣(そう投資は“習慣”です)で世界が変わる。それを教えてくれるのが米国株式だ!

あと、余計なお世話だが、エイチ・エス証券の若手営業員には自らS&P500の長期投資を実践するように言い含めた。あの年頃は仕事と遊びに忙しすぎるし「証券マンは身ぎれいに」の誤った考えに手足を縛られているかもしれない。冗談じゃない、自分が資産形成できないのにどうして顧客に適切なアドバイスができるのか?是非実践してほしい、後でビックリするぐらい差がつくはず。

②直近、7月8日のお告げ
6月24日:「(ダウは)6月26日前後で日柄調整完了、その後7月19日過ぎまでは堅調
7月8日(直近):19日頃以降はもみ合いで、その後8月7日までに高値を目指しその後持ち合い。8月15日に底値潮目で8月末高。9月に入ると保ち合いで3指数は9月7日ころに潮目(買い場)形成。

S&P500の直近値は3013ポイント。3週間ラリーの“お告げ”は2週目まではその通り。この後もお告げ通りなら高いのは今週末頃まで。投資ファンダメと比べ株価は強すぎる印象があるが、その分投資家心理は高揚しているのだろうか?いつものことながら相場の下げも付き合うつもりだ。

③日経3面「米株高は最後の宴か」
内容は普通に事実を述べているが、ヘッドラインだけだと「米株買わなくてよかったね!」ではないか。そう、米国株式ももちろん下がる。ただし下げた後にも毎回株価が戻っていることにも言及してほしかった。

書いているのは多分若手記者だろうがどんな日常だろう?NY駐在なら米国の喧騒と熱気そして摩擦や衝突を恐れないアニマルスピリットに普段から接しているはずだが、それでもああいう筆致になるのだろうか?赴任して何年?あとどれくらい腰を据えるつもり?東京が恋しいか?家族は帰りたがっているのでは?記者の行動様式にまで思いが及んだ。

ところで下記のテーブルを見てほしい、ほんの少し前までS&P500は1000ポイント台で金融危機では三桁台(最安値は2009年3月9日の676)だったが今は3000超え。「米株買っててよかったね!」ありがとうアメリカ株式

『バロンズ拾い読み』編集人 川田重信